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宋文洲のメールマガジンバックナンバー第297号(2016.03.18)

儲けたいと言い出した中一をどう思うか

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1.儲けたいと言い出した中一をどう思うか(論長論短 No.264)
2.とある会社の裏話 ~社長交代から会社が健康総合企業となった理由
  生まれるべくして生まれた「タニタ健康プログラム」
 (タニタの谷田千里社長の連載 第3回)


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■1.論長論短 No.264

儲けたいと言い出した中一をどう思うか
宋 文洲

Sさんへ

メールは読ませていただきました。(メールは後ろに添付しています)。
妻が既に結論を伝言したと思いますが、時間ができたので私の考えもお伝えします。

「中学1年の娘が、ネットショップをやっている人を手伝って、自分もモノを売って儲けたいと言い出した。」と聞いた瞬間、私は無条件に「素晴らしい!」と思いました。何の理由もなく、時間を置かずにこう思いました。

長い歴史の中で中国人の持ち味と価値観は時代ごとに大きく変わります。
過去の中国人はどう思うかはわかりませんが、現在ならば、たぶん殆どの中国人は自ら商売をやりたい子供のことを頼もしく感じるでしょう。これは拝金主義や商業重視の社会風土に由来する部分であることを否定できませんが、人生や社会をどう捉えるかに由来する部分も大きいです。

私にとってビジネスそのものは素晴らしいことです。もちろん合法的で顧客に評価されることが前提です。我々の社会のすべてがビジネスの上で構築されていると言っても過言ではありません。ビジネスがなければ税収もなく雇用も快適な暮らしもありません。

「儲け」はすべてのビジネスの必要最低条件です。儲けのないビジネスはいずれ行き詰まります。だから「儲け」は経済社会のキーワードです。
中国語や英語には「金儲け」と同じニュアンスの言葉はありません。
"賺銭"は英語のMake Moneyと同じく、マイナス感情が付随していません。
しかし、なぜか日本では儲けることは限りなくマイナスの意味を持つのです。

ビジネスは結果として「人々の役に立つ」「世の中を豊かにする」ことに繋がりますが、もし中一のお子さんがこのようなことを言い出したらあなたはどう思いますか。よほどそっちの方が心配されるべきだと思いませんか。

金儲けは自助と自立の出発点です。サラリーマン達は今日も奔走して少しでも売上が上がるように、少しでも利益が出るように頑張っています。中一のお子さんが儲けを考えて行動に移すことは自立への素晴らしいステップであり、結婚しても親の金銭支援をもらう大人より一万倍立派です。

もうすぐ春ですね。新卒の入社時期でもあります。経営をやっていた時の入社式を思い出しました。必ず「早く会社に貢献できる人間になりたい」という新入社員が居ましたが、私はいつも次のように言いました。

「貢献してくれなくてもいいから早く自分の給料を稼いでください。」

P.S.
Sさんからのメールです。

宋さん、直子さん

ご無沙汰致しております、お元気ですか?
もうすぐ春のはずなのに、今日はマイナス4度まで下がって、ダウンジャケットが手放せません。春が待ち遠しい。

さて、本日はちょいとお伺いしたいことが。宋さんの家では子供に対してビジネスをすることをどう教えていますか?

実は中学1年の娘が、ネットショップをやっている人を手伝って、自分もモノを売って儲けたいと言い出したのです。

私の最初の反応は、げげ~冗談じゃない、何とお下品な!というものでした。
だって、チビの学生だし、責任も持てない年で、他にやる事いくらでもあるでしょ、大体金、金、金~という風にはなってもらいたくないし。と。

ところが、パパはこれは出番とばかりに話に乗って、いろいろネットビジネスでの手ほどきや、代理販売と取り次ぎ販売の違い、物的・人的リスクなどいろいろ教えて、娘は微店というネット上のお店ごっこみたいなのを開店しちゃったのです。

パパの言い分は子供だっていろんな趣味があっていいし、これをやってみればMBAに行くよりずっと勉強になる。他の友人から教わるより俺が教えた方がいい。
子どもにとって必要なのは独立して生きていく力でこれは又とない機会である、と。

ちょうど職場の日中カップルのママの一家でも似たようなことが起きて、彼女も私と全く同じ反応で、中国人パパはうちのパパと同じ反応だったと聞いたんだけど、この違いは果たして、男女の差か、2国の差か、と思っているのです。

日本はやっぱり安易な商売に対する忌諱があるけど、中国人は根っからの商売を良しとする実利的風土だからでしょうか?

私も自分の貴族的な商売への毛嫌いを正当化する理由もなく、ただ、嫌いだということなので、結局パパに折れたのですが。

独断と偏見のご意見など、おせーてくださいませ。

Sより

(終わり)

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http://www.soubunshu.com/article/435034817.html
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名前も掲載されますので、問題がある場合はペンネームをご入力ください。
また、次回以降の宋メールでご意見を掲載させていただく可能性がありますので
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今までの論長論短はこちら↓
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■2.タニタの谷田千里社長の連載 第3回

とある会社の裏話 ~社長交代から会社が健康総合企業となった理由

生まれるべくして生まれた「タニタ健康プログラム」
谷田 千里

先代社長(父)が手掛けた商品のひとつに、今、流行りのインターネットに接続する歩数計、体組成計、血圧計などがありました。当時、これらの商品は時代を先取りし過ぎていたのか売れず、ほぼ初めて手掛けた分野の商品であるため使い勝手も悪い。つまり、結果として、赤字商品群でした。

加えて、これらの商品に関連して、計測した体重や体脂肪率といったデータをインターネット上で管理する子会社も立ち上げていました。インターネットに接続する商品群が売れていないため、当然、赤字事業でした。それもシステム投資が嵩んでおり、会社規模からすると巨額。

社長就任当初、当然ですが、これらの問題を解決して止血する必要があったのです。
とはいえ、これらの商品やサービスが求められる時代が来ることには疑いがなかったのです。このため中止するのは簡単だが、それでは会社の成長がないと考え、黒字になるようにプラスの発想へと変換する必要がありました。

そこでまず、会社費用で全社員に、これら商品群とネットサービスを無償で使わせることにしました。改善点を見つけることが狙いです。お客様の声をお聞きする前に、まずは社内の玄人の意見で改良しようと思ったのです。
予想通り機器やシステムの不備を指摘する声が出ました。たくさん出ました。
「俺に言うな」と思いながらも、どんどん改善をしていきました。

しばらくして、収集したデータから歩数の増加や体脂肪率の減少が見えてきました。「医療費が改善しているのではないか?」と気になり、現在のデータヘルス計画と同様に(簡易ではあるが)、所属する健康保険組合様にデータ提供をお願いし、医療費の数値比較をしました。弊社の社員だけのデータでは、1年間で約1割の医療費削減効果があり、健保様と比較すると約2割の削減効果が確認できました。

「これは外販出来る!」と考え、販売をスタート。今なら当たり前の概念ですが、当時はビジネスモデルを変革しながらの作業であったため、社内外の関係者の理解獲得までの時間が取れず、商品化にあたっては私自身が中心となって進めてきました。このため名称も私のセンスで決定しているので、こんなシンプルな名称(タニタ健康プログラム)です。「日本健康プログラム」とかにすればよかったです。

この結果から「医療費が削減できる」≒「日本を健康にしたい」という想いがさらに強くなりました。このことは、個人的にはどのような仕事に一生を捧げる覚悟をするのか、どのようなことで弊社が成長していくのか、どのようなことで日々頑張るのか、ということにクリアな回答を与えてくれました。さらに、この想いを理解・共有・ご支援いただける方々に巡り合い、国や様々な会社様との新しい取り組みがスタートするなど好循環が生まれています。

皆様も、社員の健康増進・福利厚生向上ということでも良いですし、経営的にはコストの削減という視点でも良いので、このプログラム体験してみませんか?

タニタ健康プログラム
http://www.mhlw.go.jp/wp/hakusyo/kousei/12/dl/2-04.pdf#page=21
※上記のPDFの21~23ページ(ページ番号418~420)コラム部分

http://www.mhlw.go.jp/wp/hakusyo/kousei/14/dl/1-03.pdf#page=67
※上記のPDFの67~70ページ(ページ番号198~201)第3節の1の部分

(次回につづく)

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