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宋文洲のメールマガジンバックナンバー第301号(2016.05.13)

人の変化は変化をもたらす

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1.人の変化は変化をもたらす(論長論短 No.268)
2.東京商工リサーチ(TSR)と意外に知らない"信用調査"のご紹介
 (東京商工リサーチの河原光雄社長・新連載 第1回)

3.宋文洲TV出演のお知らせ

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■1.論長論短 No.268

人の変化は変化をもたらす
宋 文洲

私の生まれ故郷は山東省威海市の郊外にあるため、約10年前から威海市政府の依頼を受けて経済顧問を務めてきました。しかし、私は帰省の時もなるべく市の役人に知られないようにしています。理由はあの接待の有り方です。

「朋有り遠方より来たる、亦た楽しからずや」(論語)。山東省は儒教発祥の地で論語が書かれた土地であるため、日本でいうオモテナシをとても大切にする文化があります。しかし、オモテナシもする人の主観によって受ける人の負担になることが多々あります。

経済局や外務局の責任者達は文革時代の人で大学も出ず、海外経験もなく、良かろうとの判断で来客に余計なご馳走を食べさせたり、過剰にお酒を勧めたり、重いお土産を持たせたりしていました。どこに行っても接待係が随行してくるので気が休まることもありませんでした。

威海市は250万人の中規模都市としては珍しく重工業と汚染が少なく、綺麗な海浜風景があるため、中国の避暑名所の一つにもなっています。北京からは僅か40分のフライトなので、私はよく家族を連れて帰省していました。しかし、もう6年以上、威海市政府に立ち寄ることはありませんでした。

それが先月、突然経済局の責任者から電話が来て「今東京にいるので相談したいことがある」と言うのです。すっかり人事が変わって知らない方々なので会うのを躊躇したのですが、まだ顧問なので会うことにしました。

会ってみるとびっくりしました。その責任者の一人は私の大学の後輩でした。他のメンバーも殆ど私より若く英語が流暢で日本語が話せる人も居ました。

相談の内容もびっくりしました。ソフトバンクC&SがBPO業務を威海市の「次世代スマート産業エリア」に移転したことを受け、他の日本企業にも同じニーズがあるのではとの相談でした。「それよりもどうやって誘致したのですか?」と聞くと、「こちらから誘致したのではなく、環境の良さと政策の良さを客観的に評価していただき、複数候補から威海市を選んでくれた。」とのことでした。

さらにびっくりしたのでは5月19日に威海市が日本貿易振興機構の後援を受けて東京で貿易促進会と交流会を開催するそうです。

「なぜ5、6年のうちにこんなことができるようになったか?」と聞きたかったのですが、失礼の上、何も貢献してこなかった自分にも負い目を感じて我慢しました。しかし、聞かなくても分かるのです。

責任者が変わったからです。文革時代に農村で育った人達から改革開放時代に大学を卒業した人達に変わったからです。たった10年の差ですが、この10年間の人材の差はまさに天と地の差です。

海外経験やビジネス経験を持つ現在の責任者達は以前のように情けや古い人脈に頼るのではなく、日本を含む外国のコンサルタント企業を活用しているようです。感覚、効率と効果が当然違ってきます。

細かいところからも感覚の違いが分かるのです。前世代の責任者は無理しても食事やお酒の場を設けますが、現在の責任者達はスケジュールを優先し、訪問や喫茶の方式でミーティングをこなします。今回も彼らは私の東京の家を訪ねた後、そのまま新幹線で富山に向かいました。

日本と中国は政治的にいろいろな難関がありますが、訪日観光客を含め、地方政府や民間企業の交流は大変盛んです。故郷と日本との間でこんなに絆が強くなったのも「日中友好」の時代ではなく「政治関係が冷え込んだ」今です。新世代の人々のお陰です。

企業経営もそうですが、決め手は人です。その感覚を掴むためにも威海市長(張恵、女性、49歳)も参加する経済貿易促進会(立食交流会を含む)にぜひ行ってみて下さい。もちろん無料です。途中退席もまったく気にせず。参加しないより良いとのことで中国では途中退席は普通にある。時間のない方も気楽に。申込み用紙は下記から入手できます。
URL:http://bsou.up.seesaa.net/image/seminer_0506ss.pdf

P.S.
今回から、第2部でソフトブレーンのお客様である東京商工リサーチ(TSR)の河原社長にご寄稿いただきます。TSRさんの事業でもありますが、そもそもの信用調査の始まりに、なんと世界中のだれもが知るあの人が関わっているとは驚きました。みなさんもぜひ驚いてみてください。

(終わり)

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http://www.soubunshu.com/article/437787167.html
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■2.東京商工リサーチの河原光雄社長・新連載 第1回

東京商工リサーチ(TSR)と意外に知らない"信用調査"のご紹介

河原 光雄

宋メールの読者のみなさま、初めまして、東京商工リサーチ(TSR)の代表取締役を務めている河原です。

平成28年熊本を中心とする地震により失われた尊い生命にご冥福をお祈りするとともに、 被災されました皆様方に心よりお見舞い申し上げます。
一刻も早い被災地の復興を心よりお祈り申し上げます。

今回ソフトブレーン様よりメールの寄稿という機会をいただきました。
全6回となりますが"TSR"だからお伝えできる内容をお話したいと思いますので、ぜひお付き合い頂けると幸いです。

まずは少しだけ弊社の紹介をさせて頂きたいと思います。

弊社は創業124年と業界で最も古い歴史を持つ"信用調査"会社です。あまり知られていませんが、日本で初めて"倒産"という単語の定義付けを行ったり、全世界200ヶ国超2億5,000万件以上の企業情報をワンストップで提供するなど、国内海外を問わず、企業間取引を支援する業務を行っています。

いきなりとなりますが、ここでみなさんに質問をさせていただきます。BtoB企業に携わっている方は既にご存じかも知れませんが、弊社の本業となる"信用調査"という言葉をお聞きされたことがありますか。実は信用調査の歴史は長く、グローバルにビジネスを展開するうえでなくてはならない分野となっています。

一つ、信用調査に関する歴史のお話をさせて頂きますと、アメリカの西部開拓時代には、東部の商人たちは成長しつつある西部の市場へ勢力を伸ばす為に、未知の企業や買い付けにやってくる地方商人と取引を行う必要がありました。

ただ、取引相手が信用できるかどうかを判断する為の情報(信用情報)が存在しなかった為、勘に頼りながら取引をするほかありませんでした。そんな時代に重宝されたのが、取引先の信用情報を伝える通信員(クレジットレポーター)の存在です。

米国の信用調査会社、Dun & Bradstreet(ダンアンドブラッドストリート)の通信員として世界的に有名な方が働いていました。最近映画にもなったアメリカ大統領と言ったらすぐにわかってしまうかもしれませんが、アメリカ第16代大統領『エイブラハム・リンカーン』です。

Dun & Bradstreetではなんとリンカーン以外にも3名もの大統領を輩出していますが、リンカーンほど傑出した人物はいなかったそうです。当時弁護士だった彼は非常に評価も高く、1858年の略語で記された会社側の評価では「No1 always response & very good (常にNo1で責任能力があり、極めて優秀)」とあるように、とても優れた通信員であったというエピソードが残っています。

米国の通信員は秘密厳守と厳しい道徳観念が要求された為、弁護士等の社会的信頼の厚い人物に限られることに加え、堅実な職業として尊敬される職業でした。

これは日本でも同じで、通信員は"調査員"と呼ばれ、明治時代の後半以降、日本の近代化に歩調を合わせ発展してきました。

弊社はDun & Bradstreet製品の国内独占販売権を有して、全世界中の企業情報を国内の企業にお届けすると同時に、日本企業が海外で活躍頂けるように企業情報を全世界に発信させていただいております。

インターネットが普及し、様々な情報を瞬時に得られるようになった現在ではありますが、企業調査の取材においては、その内容が機微に触れたものだけに弊社創業以来124年もの間、調査員がフェイスtoフェイスによる当時とほとんど変わらない手法で企業情報を収集しており、信用情報の重要性も全く変わりません。これからも信用調査会社のパイオニアとして、お客さまの企業間取引を支える存在として取り組んでいきたいと思っております。

次回からは、いま話題のチャイナリスクや、グローバル企業データベースについてお話をさせて頂く予定です。ぜひご覧ください。

(続く)


■3.宋文洲のTV出演のお知らせ

2016年5月15日(日)午前7:30~8:55
フジテレビ「新報道2001」

ぜひご覧ください!

(終わり)

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