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宋文洲のメールマガジンバックナンバー第329号(2017.06.23)

最低の起業意欲が何を示唆するか

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1. 最低の起業意欲が何を示唆するか(論長論短 No.297)

2. ソフトブレーングループからのお知らせ(セミナー&最新情報)

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■1. 論長論短 No.297

1992年の創業から2006年の引退まで、経営者として14年間しか働いていませんでしたが、これまでの人生で最も勉強と成長ができ、最も楽しい思い出が残った期間でした。

もともと50歳までに経営者をやめるつもりでしたが、2006年の村上ファンド事件が起き、私の会社は上場企業で唯一彼を社外取締役として選任していたことで世間から逆風にさらされました。
村上ファンドと共に堀江氏も世間の批判の的になって、新興ベンチャー全体がイメージの悪化と共に不人気の時代に突入したのです。

今でも鮮明に覚えていますが、年を取った保守派の重鎮たちが「やっぱり我々じゃないと日本がダメになる」のような態度で全面的に復活を成し遂げ、戦後最大のベンチャーブームに水を差し続けました。
その悲しい状況をみて私は10年以内に日本が面白くなくなると思って43歳で日本の経済界から抜けました。

あれから11年が経ちました。新興企業に対する日本の経営環境はどうなったでしょうか。日本内部にいる人に聞けばそれぞれの個人が持っている情報と体験で語りますが、日本の起業意欲を世界の平均と比較して語る人は少ないのです。

この11年間、米国も中国も新興企業の成長が国の成長を牽引してきました。 皆さんは米国のことはよくご存じでしょうが、中国の最も価値のある企業をご存知でしょうか。
テンセントです。時価総額は3000億ドル(30兆円)を超えています。テンセント自身の成長だけではなく、テンセントのWeChatが中国携帯端末の共通OSになったため、中国の携帯メーカーもアップルに勝つようになったのです。

HUAWEIやXIAOMIの携帯端末とWeChatの組み合わせでどれほど快適な生活できるかは中国で生活してみないとわかりません。これらの技術革新は全部ベンチャー企業であり、国営企業や古い大手は一つもありません。
中国政府の唯一の貢献はベンチャー企業を邪魔しなかっただけです(メディアもベンチャー企業をバッシングしなかった)。

誤解のないように言いますが、私は中国の起業精神を自慢しているわけではありません。中国人として具体例を通じて体感したからです。

中国の起業レベルはあくまでも世界平均に過ぎないのです。 総合人材サービスのランスタッドの起業に関する調査によると、中国社会における起業意欲のレベルは世界平均とほぼ同じです。問題は日本の起業意欲です。

調査の33カ国の中で最下位です。特に18~24歳の若年層を見ると「より多くの機会を得られるので起業したい」と答えたのはたったの28.3%でした。これに対して世界の平均は63.8%です。また、創業初期の企業で働きたいと答えた若年層の日本人は30%でした。世界の平均は60.0%です。

この数字からわかるように、ここ十年間の日本社会は如何に雰囲気が保守的になったか、如何にチャンレンジ精神を忘れたか、如何に精神的に老けてきたか。

この数字は決して偶然ではなく、最近の日本の政治、経済と世論の総合的結果です。 宋メール読者の多くは現役の時の私のメールも読んでくださっています。 ここ数年は批判文章が多いことに気付いたと思います。一部の方は「宋さんが反日になった」とも言いますが、私はそんなことを気にしません。皆さんはいずれ分かってくださると信じています。

一万回聞かれても同じ答えを言いますが、国の本当の体力は新しい産業を生み出す力です。その力の源泉は起業家精神です。リーダーシップとリスクをとって起業するのも起業精神ですが、それを恰好いいと思って創業初期の企業に加わるのも起業精神です。

しかし、起業家精神は「過去に解決口を求める」保守の土壌から生まれませんし、生まれても育ちません。 社会も経済も政治も周期があって落ち込む時期があって構いませんが、そろそろ日本がこのような老けた保守社会から変わってもいい時期ではないかと思います。

P.S. この話題に大変近いのですが、日本では社長になりたくない若者が大変増えているそうです。「週刊文春」編集長の新谷さんがこの傾向を懸念し、昨年から私に寄稿を依頼しました。タイトルは「それでも社長になりたいあなたへ」です。 3月から既に連載は始まっていますが、興味のある方は「週刊文春」をご覧ください。 今回の論長論短へのご意見はこちらへ↓

今回の論長論短へのご意見はこちらへ↓
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■2.ソフトブレーングループからのお知らせ

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