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宋文洲のメールマガジンバックナンバー第333号(2017.08.18)
自転車泥棒が居なくなった理由
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1. 自転車泥棒が居なくなった理由(論長論短 No.301))
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■1. 論長論短 No.301
子供の塾のため先週から北京に滞在しています。そこで、ここ最近の北京の変化をいくつか紹介します。
一番の変化は道沿いに置かれている共用自転車の量です。過当競争で歩道が塞がれることがしばしばあります。携帯で二次元バーコードをスキャンすると鍵がガチャと開きます。目的地に着いたら適当な場所に停め、鍵をかければもう終了です。1元前後(16円)の料金は携帯の電子財布から自動的に引かれます。
マンションの玄関を出るとすぐ共用自転車が見付かり、目的地の玄関前まで乗れることを考えると、2、3駅の距離ならば共用自転車が一番早いのです。車や地下鉄のように乗るまでの時間と降りてからの時間がないからです。
行き先が遠い場合、地下鉄が利用しやすくなりました。これまでは地下鉄を降りてから目的の建物が遠い場合、ついつい最初からタクシーや自家用車を使ってしまったのですが、駅にある共用自転車を使えば逆にちょうど良い距離です。そのため、北京市内は目にみえて渋滞が軽減され、空気の質も良くなりました。
昔から見慣れていた自転車ではありますが、「私は故障車です。5メートル先に仲間がいます。」と自転車に言われた時はショックを受けました。これは自転車ではなく、自転車機能が付いているスマート端末だと思いました。このサービスを提供している企業はリアルタイムですべての自転車端末の位置と状態を把握し、専用車で故障車の回収や不法放置の整理をやっているのです。
これはスマートシステムが如何に人々のライフスタイル、公共交通の在り方、そして環境や社会に影響を与えるかの典型的事例です。友人から聞きましたが、この頃自転車泥棒が居なくなったそうです。人々は自転車を所有する必要がなくなったため、自転車を盗んでも売れないからだそうです。そしてマイナス効果として上述の道が塞がれて邪魔である他、自転車の販売屋さんや修理屋さんが潰れていくのです。
もう一つ便利なサービスは「外売」です。街中の店にあるものを顧客の代わりに買って届けるサービスです。ある日、そのサービスを通じて近所のお店のお粥を頼んだのですが、私の携帯にすぐ担当者の顔、名前と携帯電話番号が表示されました。「28分以内に届く」、「店に入った」、「店を出た」、「今の位置はあなたから560m・・・」
消費者から一切料金を取らないサービスなので、この人達はどうやって儲かっているのだろうかと心配してみましたが、中国人のやることですから心配無用です。店から数パーセントを取れば十分に儲かるそうです。店も来店できない客を確保した上、座席を節約することができるため、得するそうです。
昨日は雨のため、子供を自家用車で塾に近い妹の家に送りました。携帯の無料ナビケーションに助けられました。「この信号はそのまま通り過ぎ、次の信号を右折。」とか、「一番右側の車線に移ってください。」とか細かい準備を程よいタイミングで教えてくれます。間違いやすいところをわざと「この橋を潜ったら右に分岐。そのまま坂を登っては行けない。」とまるで助手席に乗って指示しているようです。運転下手な私でも初めての道を余裕で走れます。ここまで細かく指示してくれるなら自動運転にしたらどうだと考えてしまいました。
友人の話によると中国の新しい道には既に自動運転のためのセンサーを装着しているそうです。自動運転には車両だけではなく、道路もスマートになってもらわないと無理だそうです。
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