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宋文洲のメールマガジンバックナンバー第287号(2015.10.30)
郷に入っても郷に従えない
1.郷に入っても郷に従えない(論長論短 No.254)
2.新たな挑戦
(オプティム菅谷社長の連載「ぼくらの地球規模イノベーション戦略」 最終回)
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■1.論長論短 No.254
郷に入っても郷に従えない
宋 文洲
「すみません。ANAクラウンプラザホテルに行きたいのですが・・・。」
名古屋駅を出てタクシードライバーに行き先を告げながら私は不安でした。
秘書からもらったメモに書いてある行き先の名称の「ANAクラウンプラザホテルグランコート名古屋」は長すぎる上、ホテルなのか、ホテルの施設なのか、それとも地名なのかがよく分からなかったからです。
さすが地元のドライバーさんで、後半の「グランコート名古屋」を読む前に「分かりました。」の一言ですぐ車を発進してくださいました。
数分後、ドライバーさんが赤い煉瓦の建物の前に車を止めて
「はい。ここです。」と言いました。ふとメーターを見ると料金は700円くらいでした。
「ごめんなさいね。こんなに近くて。」と言って降りました。
しかし、よく建物を見ると不安になりました。講演を頼まれたセミナーの会場は28階にあると言われましたが、明らかにこの建物は10階程度です。
「ホテルに併設した施設だろうか?」と思いながら、フロントの方にメモを見せながら確かめると
「ここではありません。金山のほうにあります。」
「ではここは何というのですか?」
「ここはクラウンホテルです。」
「金山はどこにあるだろうか」と思いながらメイン通りに出て別のタクシーを止めてメモを見せながら「金山にある、この長い名前の所に行きたいですが・・・。」と頼みました。
「あ、グランコートですね。」と言われました。
「分かりませんが、金山にあってANAクラウンプラザホテルグランコート名古屋といって28階以上ある高い建物です。」と、二度と間違うまいと私は必死でした。
間違いなく私は行きたいところに向かっていると確信を持つと、私はやっと二番目のドライバーさんに経緯を説明しました。すると彼は「我々はお客さんが今から行くホテルのことをグランコートと呼んでいます。前の人は勘違いしたのでしょう。」と解説してくれました。
正式名称を最後まで読まなかった私も悪いのですが、一応私ははっきりと「ANAクラウンプラザホテル」と言いました。地元では前半を言わず「グランコート」と呼ぶのに慣れたため、クラウンとホテルのキーワードを聞いて「クラウンホテル」だと思い込んでしまったのでしょう。
「今日の宋メールはいったい何を言っているのか?」ともう我慢の限界にきている方も多いと思いますが、ここまで詳しく説明しないと皆さんがこのことが示唆した物事の本質に気付き難いだろうと私は勝手に思っています。
長い期間にわたって外との人材交流が少ない企業では、内部の隠語や暗黙ルールが標準になってしまうのです。外の人が突然に入って元来の標準用語を使ってもかえって通じない現象はよくあります。同じ現象が地方都市にあるのです。
世の中ではよく「グローバルな視点が重要」など言われますが、外との人的交流がない限り無理です。外の人がたくさん入って来ないとどうしてもローカルの癖や暗黙ルールが普遍的ルールだと勘違いしてしまうのです。
「郷に入れば郷に従え」という発想は観光産業や外資誘致などのビジネスにおいては、単なる自己中心、顧客無視に過ぎません。
数年前のオリンパスの財務不正事件は外国人の社長がいなければ発覚していないでしょう。東芝の隠ぺい問題も先輩社長が後輩を社長に指名するマトリョーシカ人事を続けなければ最初から起きていないでしょう。
内部の人間が内部の論理に慣れてしまえばチャレンジも世界標準と全く無縁の隠語になってしまうのです。
保守と無知は環境の閉鎖性に由来するのです。「井の中の蛙」という諺がありますが、蛙に問題があるのではなく、井に閉ざされた環境が悪いと言っているのです。あの蛙は井の中で懸命に勉強し情報収集した結果を素直に言っているだけなのです。彼こそ被害者なのです。
(終わり)
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http://www.soubunshu.com/article/428711151.html
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今までの論長論短はこちら↓
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■2.オプティム菅谷社長の連載「ぼくらの地球規模イノベーション戦略」 最終回
新たな挑戦
菅谷 俊二
前回のメルマガでは、窮地からの脱出のお話をさせていただきました。
今回は、新たな挑戦についてのお話をさせてください。
窮地から脱出できたオプティムですが、その頃、新しく始めた企業向けのセキュリティサービス「Optimal Biz」も多くのパートナー様に恵まれ、今では、主力事業に育ってきました。国内モバイルデバイス管理プラットフォーム4年連続シェアNo.1を獲得することができ、市場シェアも約44.5%というところまでくることができました。
最近でも変わらず、多くのことに挑戦しております。特に、IoT、ウェアラブル、ドローンなどのテクノロジーを用いて、産業とITの融合により価値を創造する「○○×IT」を掲げ、"わけのわからない会社"になることを目指しています。
現在、農業IT分野で佐賀大学・佐賀県との産学官連携、建設IT分野でコマツと提携、医療・ヘルスケアIT分野でMRTと提携、コスメIT分野への参入など、各産業への広がりをみせています。皆さまから、「様々な業界で名前を見かけるけれども、いったい何の会社なのかよくわからない」とおっしゃっていただけるような、既成のマーケティング概念ではとらえることができない会社になりたいと考えています。
最後となりますが、ここまでお付き合いいただきまして、ありがとうございます。
皆さま、滑稽な失敗の連続に満ちたオプティムの歴史はいかがだったでしょうか?
何も知らない中、3人でスタートしたオプティムが本当に本当に数多くの方々からお力をいただくことによって、ここまで来ることができました。
(ここまでと言ってもまだ本当に始まったばかりですが)
最近になってようやくわかってきたのですが、どうやらオプティムという会社は特異な会社のようです。少し昔のことになりますが、中国の大富豪の投資家と私は面談する機会がありました。その投資家は経営者としての私の器の大きさを見極めたかったのか、こういう質問をしました。「お前はこの会社でどれぐらい儲けたいんだ?」と。
私は、即座に「私はお金を中心に、オプティムのことを考えていない。
そんなことよりイノベーションを実現したいんだ」と答えました。おそらく、「数十億、数百億は稼ぎたい」といった言葉を期待していたのかもしれません。
その投資家の方は、すっかり私に失望したように「お前は馬鹿か。そんなことを言っていたら誰も投資なんかしないぞ。嘘をつけ、そんな気持ちで事業などやるはずがないだろう」と言いました。
私は、少し考えて私たちの考え方をこう伝えました。「もし、あなたが世界で一番歌がうまかったとして、お金をもらえないからといって歌を歌わなくなりますか?」私たちは、自分たちが世界で一番歌がうまくなれる(世界で大きなイノベーションを興せる)と信じています。
であれば、その歌声を世界の皆さんに聞いていただきたい(新しいイノベーショナルなサービスを実現し、届けたい)と思うのは当然だと思いますし、そのためにこそ与えられた人生の時間を使いたいのです。当然、私も上場した以上、株価が 上がって投資家の皆さまに喜んでもらいたいという思いはあります。そして、それを実現するのは、イノベーションの実現から生じる結果によってのみ達し得ると思っているのです。
これからも私たちは、多くの挑戦をし、多くの困難や失敗にも直面することになると思います。皆さまによっていただけた多くの機会に対する感謝の気持ちを励みとして、それらを仲間たちと楽しみながらそれを乗り越え、繰り返し繰り返しイノベーションを興す機会を狙い続け、世界の人々にオプティムのイノベーションを届けて行きます!
(終わり)
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2015年10月22日に、弊社オプティムは、昨年2014年10月22日の東証マザーズ上場から、東証の規程上最短の1年での東証一部上場をおこないました!
関連ニュースへのリンク↓
http://www.optim.co.jp/irdocs/5J2rhj4a9hpQ.pdf(PDFが開きます)
◆建設×ITへの取り組み(コマツと提携)
https://www.youtube.com/watch?v=xigmYE7ElXw(YouTubeが開きます)
◆農業×ITへの取り組み(佐賀県、佐賀大学との産学官連携)
https://www.youtube.com/watch?v=k8PlQRPquvI(YouTubeが開きます)
◆コスメ×ITへの取り組み(コスメマーケットへの参入)
https://www.youtube.com/watch?v=JsJCY-96e3w(YouTubeが開きます)
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オプティム ホームページ
http://www.optim.co.jp/
著書:ぼくらの地球規模イノベーション戦略
http://www.amazon.co.jp/dp/4478083754
(終わり)
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