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宋文洲のメールマガジンバックナンバー第343号(2018.01.12)
次回は日本の外で
2009年から家族を連れて北京で5年間生活した後、子供たちの日本語レベルを上げるために2年間日本の学校に通わせました。これに伴い、私も日本にいる時間が多くなりました。
昨年から子供たちは全員米国の寄宿学校に行ったので私も日本にずっといる理由がなくなりました。今年は中国、米国、そしてこれまで行きたくて行けなかった国々をゆっくり訪ねて生活することにします。今回の宋メールは東京で書きましたが、次回は間違いなく日本の外で書きます。
日本が好きかと聞かれると私は迷うことなく「好きだ」と言います。中国と日本どちらが好きかと聞かれる場合、「その質問は間違っている」と答えます。「母親と彼女どちらが好きか」という質問と同じだからです。親は好き嫌いで表現する相手ではないのです。
この前提でいうと、私にとって「日本は世界で一番好きな国」です。しかし、私は日本に長くいるのは耐えられません。その理由が今回の論長論短のメインです。
まず、一つの国が好きかどうかは完全にその人個人の趣味と都合であってその国が良いか悪いかと何の関係もないのです。それは皆さんが好きな彼女や彼氏が世間一般から見て「良い人かどうか」関係ないのと同じ理屈です。
好きなのにずっと一緒にいるとイライラする。これが私とイマの日本との関係です。
日本のためだと思って提言してもまず出てくるのは「中国とは違う」です。「いいえ、ドイツもクリーンエネルギーが大変発展しているので日本は原発よりもクリーンエネルギーに投資すべきでは」と言うと「ドイツも日本とは違う」、「太陽光パネルは10年たつと取り替えと処分が大変だ」とまるでもう自分が検証済みのようにマイナスポイントを並べます。
「一帯一路も中国ビジネスだからメリットがあれば一緒にやればいいのでは」と言うと「あれは中国の覇権の道具だから」とまるで冷戦の戦士みたいなことを言う普通の経営者がたくさんいます。
私はすぐ真剣になる性格ですからついつい怒りっぽくなってものを言うと「やっぱり中国の人だから」と言われ、挙句の果てに「反日」と言われることもよくありました。また、テレビで言いたいことを言うとテレビ局側に反論され止められる始末です。異なる意見を聞くふりして「外人も言いました」みたいなことを望む。お飾りの東芝などの社外取締役の使い方とそっくり・・・だったら自分がはっきり言ったらどうかと思うとイライラします。
私は日本のマスコミに媚びて顔を売る必要がない上、日本人に影響を与えたいわけでもないので、このような状況下でマスコミに出るのはバカバカしく感じます。
第二の理由は今の日本に世界の生の情報を持つ人は本当に少ないのです。海外の情報といえば日本語メディアから仕入れた情報で最初から加工済みです。だからIPS細胞移植詐欺やスパコン詐欺の時の経歴偽装も見破れないのです。本来、電話一本で確認できることです。読売新聞から官庁までまんまと騙されるのです。まあ、信じたい気持ちがあって騙されるのです。それを一番敏感に知っているのは詐欺師のほうです。
その結果、ほんの一部の現在もグローバルに活動する日本人としか付き合わなくなるのですが、彼らはあまり日本に居ないのです。子供たちも日本にいないと思うと、我々夫婦がずっと日本にいる理由はどこにもありません。
しかし、これが日本への悪口と捉えてはいけません。しばらく日本にいないとイライラが解消される上、日本の良さが脳に蘇るのです。その良さは「日本スゴイ」基調の今は私があえて言わないでおきましょう。聞き飽きていない方はどうぞテレビにかじりつくとよいと思います。
今日の宋メールはご報告か、悪口なのかよく分からなくなるのですが、お許しください。こんなことを言いながらも、実は日本にも静かな変化が根底からじわじわ起きています。その前兆は既にはっきりと出ています。
2018年は良くも悪くも去った5年間と全く異なる状況が生まれるに違いありません。こんなことを言ってまた一年間宋メールの「言い加言」を検証してみてください。
今年もよろしくお願いいたします。
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